Ladies Clinic St.Cecilia




レディスクリニック・セントセシリア
〒030-0944 青森市筒井八ツ橋95-12
TEL017-738-0321/ FAX017-738-7320

不妊症とは

不妊症とは

《不妊症》は、全夫婦の10%にあると言われています。特に異常がない場合1年で80%の方が、2年で90%の方が妊娠されます。

結婚後、1年たっても妊娠しない場合は《不妊症》が疑われます。
治療開始が早いほど妊娠の成功率も高くなりますので、まずご相談ください。

  • 不妊の原因はほぼ男女半々です。カップルで協力して検査・治療に取り組みましょう。
  • 不妊の検査・治療は近年格段に進歩しています。積極的に検査・治療を受けることで、妊娠の可能性は高くなります。
  • 不妊治療の期間は数ヶ月から数年に及ぶ場合もあります。医師と相談しながら根気よく取り組みましょう。



当院は、日本産科婦人科学会体外受精登録施設、青森県特定不妊治療費助成事業指定医療機関です。

また日本産科婦人科学会専門医、日本臨床エンブリオロジスト学会認定臨床エンブリオロジストが在籍しています。


妊娠の成立

妊娠の成立

排卵

ホルモンの働きにより卵胞が発育し、各月経周期に一度、卵子を排出します。

受精

卵子は卵管釆に取り込まれた後、卵管に送られ、膣から子宮を通って進入してきた精子と出会い受精します。

着床

受精した卵子は子宮へと移動し、子宮内膜にくっつき妊娠が成立します。






不妊の原因

不妊の原因

主な原因

  • 排卵障害
  • 卵管がつまっている
  • 子宮の形が異常(受精卵が着床しにくい)
  • 子宮や卵巣の病気(子宮内膜症、子宮筋腫など)
  • 子宮の入り口を精子が通過できない(頚管粘液が少ない)
  • 精子の数が少ない、動きが悪い
  • その他(原因不明)





検査について

検査について


不妊症の原因は、女性が1/3、男性が1/3、残りは両方が原因または原因不明です。
したがってカップルで検査を受ける必要があります。

まず、子宮ガン検診、超音波検査、性病検査などを行ないます。
精液検査を行なう際には、男性のカルテが必要です。男性も受診手続きをしてください。

基礎体温

受診の際は、基礎体温表を持参してください。基礎体温表は、排卵の有無や排卵日予測に有効な検査です。正常月経周期の場合は、低温相と高温相の2相性を示します。そして低温相最終日と尿検査、超音波検査などを組み合わせて排卵日が推定できます。



基礎体温測定のポイント

  • 就寝時に婦人体温計を枕元に置いておき、朝、目を覚ましたらすぐに横になったままの状態で測りましょう。
  • できるだけ起床時間(測定時間)を一定にしましょう。
  • 低温相から高温相に上がり始める頃に排卵があります。
  • 1〜2日測り忘れても、あきらめないで続けましょう。


血液検査(ホルモン測定)


女性の体内で分泌される各種ホルモンは排卵や妊娠に大きく影響しており、排卵や着床に問題ないかの判断材料になります。測定の結果によっては、卵の発育や排卵を調節する下垂体ホルモン(LH、FSH、プロラクチン)が、視床下部ホルモン注射に対して正常に反応するかどうかを、注射前〜2時間後まで数回採血して調べます(ホルモン負荷試験)。ホルモンの変動が少ない時期(月経開始後3〜5日目)に行ないます 。

子宮卵管造影


子宮の形や卵管の通過性を調べるレントゲン検査です。月経終了後の低温相に行ないます 。



フーナーテスト(人工授精、体外受精・胚移植を受ける方は不要です)


排卵が近づくと分泌される子宮頚管粘液中に、精子の運動を妨げるものがないかどうかを調べる検査です。性交後5時間以内に頚管粘液中の精子の運動性を調べます。排卵予定日の3〜4日前から禁欲し、当日朝に性交してください 。

黄体機能検査(体外受精・胚移植を受ける方は治療の際に行なうので不要です)


妊娠の準備状態になっているかどうかを、高温相の7日目頃にホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)測定で調べます。

精液検査

3〜4日間の禁欲後、外来受診日の朝にマスターベーションで採取してください。精子濃度、運動率、奇形率、 細菌感染の有無などを調べます。精子の状態は体調などにより変化するので、数回検査を行う場合があります。採取容器は医師または看護婦から受け取ってください。持参する時は冷やさないように注意し、容器と袋に女性の名前を書いて、受付に提出してください 。

一般不妊治療

一般不妊治療


人工授精や体外受精を行なう日には、男性のカルテが必要です。男性も受診手続きをしてください。
受診の際は、基礎体温表を持参してください。

排卵誘発剤の開始


月経周期が不順で、排卵日が予測できない場合に使います。

クロミッド(クロミフェン)
月経周期の5日目から5日間内服します。通常は15〜18日目に排卵が起こります。 女性ホルモンの働きが抑えられるため、子宮内膜が薄くなったり、頚管粘液が減少 したりすることがあります。そのような副作用がみられた場合は中止します。



セキソビッド
月経周期の3日目から7日間内服します。排卵日はあまり一定しませんが、クロミッドのような副作用はありません。

フェマーラ
月経周期の3日目から5日間内服します。健康保険の適用はありませんが、クロミッドのような副作用がなく、排卵率・妊娠率ともクロミッドと同等以上と報告されています。

テルロン/カバサール
飲み始めの頃は吐き気 やめまいなどの副作用が出やすいので、夕食後または就寝前に内服します。副作用は数日で消失します。
高プロラクチン血症の治療のため、月経周期の2日目から妊娠が成立するまで内服します。テルロンは毎日、カバサールは週1回服用します。
内服を開始してから2週間後以降に、プロラクチンが低下したかどうかを調べます。

プレドニン
男性ホルモンが高い場合に使用します。月経周期の2日目から10〜12日間内服し ます。ステロイドという強い薬ですが、少量なので副作用はほとんどありません。

HMG製剤
クロミッドが無効な重症の排卵障害がある場合に使用します。月経周期の3〜5日目から連日または隔日で筋肉注射します。通常は7〜10日間で排卵が起こります。



卵管通水治療


子宮卵管造影で卵管の通過障害が疑われた場合に必要な治療です。卵管の緊張をやわらげる薬を筋肉注射した後、子宮卵管造影と同じ要領で子宮に水を注入します。月経終了後の低温期〜排卵期に行ないます。

経膣超音波による卵胞径・子宮内膜厚の計測、頚管粘液検査、尿中LH検査


排卵日を予測するための検査です。卵胞径が18mmを越え、子宮内膜の厚さが7mmを越えたら、卵子は十分 成熟して女性ホルモンの分泌が高まり、排卵が近いと判断します。また、尿中のLHが陽性になると、間もなく排卵が起こると判断できます。これらの検査をもとに、性交のタイミング指導や人工授精の日程を決めます。また治療のタイミングをとりやすいように、排卵を起こさせるHCGを注射することもあります。

経膣超音波による排卵の確認、黄体補助


排卵して卵胞が破れたかどうか、子宮内膜が高温相の状態になったどうかを超音波で確認します。また黄体ホルモンの働きを助けるためにHCGの注射を追加します。次周期の分の治療薬を処方することもあります。

腹腔鏡検査・治療


原因不明不妊や子宮内膜症の診断、腹腔内病変の治療のために行ないます。
当院では設備がありませんので、必要な場合は総合病院に紹介いたします。


人工授精

人工授精


運動精子数が少ない場合、精子と頚管粘液との適合性が悪い場合、
原因不明不妊で妊娠しにくい場合などが適応となります。



  • パーコールという液を使用して精液中の不要な物質を取り除き、運動良好精子を濃縮します(処理に1時間かかります)。
  • 子宮内に人工授精チューブを用いて処理した精子を注入します。
  • 短時間でおわり、痛みもありません。
  • 注入後すぐに帰宅していただけます。
  • 禁欲は3~4日間必要です。精子採取は、自宅でも病院内の精液採取室でも結構です。
  • 感染予防のため人工授精前日から抗生物質を内服していただきます。
  • 人工授精は保険診療外の治療となりますので1万円程度の費用がかかります。



高度生殖医療-概要

高度生殖医療-概要

体外受精法・顕微授精法(ART)のあらまし


妊娠が成立するメカニズムは、とても複雑です。その一部が解明されることによって不妊症の新しい治療法、すなわち《体外受精 ・ 胚移植》が生まれました。これは、精子と卵子を体の外に取り出して受精させ、培養して発育した受精卵(胚)を女性の子宮や卵管に戻す方法で、不妊症治療のうち最も高度な技術を必要とするものです。

《体外受精 ・ 胚移植》では精子や卵子そのものには人工的な操作を加えることがなく、受精する場所が体の外であることを除いては通常の妊娠と変わりがありません。 しかし、《体外受精》を行っても受精が成立せず、胚移植を行なえずに終わることがあります。

このような受精障害による不妊症に対する治療として、顕微鏡下で卵子に人工的な操作を加えて受精を助ける特殊な体外受精法が生まれました。これを《顕微授精》といいます。

日本・世界における現状


日本産科婦人科学会の報告(2015年)によると、2013年現在治療周期数は368,764周期であり世界で最も多くARTが実施されています。年間4万人以上の赤ちゃんが誕生しており、全出生児数に占める割合も25人に一人の時代になってきています。
治療法としては日本では欧米諸国と比較して顕微受精の実施割合が低く、一方凍結胚を用いた治療周期が多いのが特徴です。
凍結胚を用いた治療が多い理由として、多胎妊娠防止のため胚移植数を1個に限定することが多くなり、余剰の胚を凍結することが多くなったことが考えられます。

体外受精・顕微授精の適応


《体外受精 ・ 胚移植》は、何らかの原因で精子と卵子が出会うことができない障害を持っている夫婦に対して行われます。ただし、胎児を育てる子宮がない場合や卵子や精子が全くない場合、現時点では、日本国内では体外受精を行うことができません。したがって、次のような不妊カップルが適応となります。  

  • 男性因子   乏精子・無力精子・奇形精子症

  • 女性因子   卵管性不妊・免疫性不妊・子宮内膜症

  • 原因不明



一方、《顕微授精》は、通常の体外受精を行っても受精することができない何らかの受精障害のあるカップルに対して行われます。  

  • 男性因子   重症の乏精子・無力精子・奇形精子症・受精能異常精子症   

  • 女性因子   免疫性受精障害・卵の異常による受精障害

  • 原因不明






高度生殖医療-方法

高度生殖医療-方法

排卵誘発

GnRHアゴニスト-FSH/HMG-HCG法


 多数の卵子を獲得するために行われる、最もポピュラーな排卵誘発法です。これには、FSHが含まれたホルモン剤(HMG、フォリルモンなど)、LHが含まれたホルモン剤(HCG)、さらにGnRHアゴニストというホルモン剤を使用します。GnRHアゴニストには点鼻薬(ブセレキュア、ナサニール)と皮下注射(スプレキュアMP、リュ―プリン)とがあり、当院では主にブセレキュアを使用しています。GnRHアゴニストを投与すると、卵子の成熟・排卵をコントロールしている体内のFSHとLHの分泌が止まり、排卵誘発剤だけで排卵をコントロールできる状態になります。

 以下のような順序で行います。


GnRHアゴニストの処方

 GnRHアゴニストは、本来は排卵を抑制するために使う薬です。まず、体外受精を行おうとする前の周期の月経開始時に来院し、GnRHアゴニストを処方してもらってください。その際に、体外受精のスケジュールも確認してください。


GnRHアゴニスト開始 : 体内のLHとFSHを止める

 高温相の7日目頃(または次回の月経開始予定日の約7日前)に来院してください。超音波検査で子宮が高温相の状態になっているかどうかを確認してから、通常は、体外受精を行う前の周期からGnRHアゴニストを使用します。これを《ロング法》といいます。本来は1日3回、両鼻にスプレーして使用する薬ですが、通常は1日2回でも十分な効果が得られます。

 一方、高齢になりますと卵巣の反応性が低下し、十分な採卵数が得られなくなります。そのような場合は、月経開始日から数えて2〜5日目からGnRHアゴニストと排卵誘発剤をほぼ同時に使い始めることによって、排卵誘発剤の作用を強めることも試みられています。これを《ショート法》といいます。


HMG開始 : 卵胞を育てる

 《ロング法》の場合は月経開始日から数えて7日目頃、《ショート法》の場合は2〜5日目からFSH/HMGを使い始めます。FSH/HMGには強力な排卵刺激作用があるため、多数の卵子が同時に発育します。通常は7〜10日間の注射で十分な効果が得られますが、卵巣の反応性は年齢などに左右され個人差があります。そのため、ホルモン検査や超音波検査を行いながら、FSH/HMGの量を変えなくてはならない場合もあります。特に初めて排卵誘発剤を使う場合は、卵巣の反応が予想できないので、検査をしっかり受けなくてはなりません。卵胞の大きさが18mm程度になり卵子が十分発育したと判断できたら、FSH/HMGの注射を終了します。卵胞の発育が不十分だった場合は、さらに2〜4日間FSH/HMG投与を追加します。


HCG投与 : 卵子を成熟させる

 卵子が十分発育したと判断できたらHCGを注射します。HCGは卵子を排卵直前の成熟した状態にするために必要な注射です。通常、HCGの注射から36時間以上時間がたつと排卵が始まると考えられていますので、卵子が十分に成熟し、かつ排卵が始まる直前、すなわちHCG注射の約36時間後に採卵することになります。採卵時間から逆算し、HCG注射は通常22時〜23時に行います。注射時間は医師の指示に従って下さい。

GnRHアゴニストの終了

 GnRHアゴニストの終了時期には、いくつかのバリエーションがあります。通常はHCGを注射する日で終了になりますが、1日だけしか使用しない方法や、HMG開始日まで続ける方法、妊娠判定まで続ける方法もあります。GnRHアゴニストをいつまで使用するかは担当医師の指示に従って下さい。



GnRHアンタゴニスト法


 卵巣の働きが悪くなり、《ロング法》では卵が育ってこない場合、《ロング法》でなかなか妊娠に至らない場合、卵巣過剰刺激症候群発症の恐れが強い場合に行うときがあります。
 詳細は医師の指示に従って下さい。

自然周期法


 排卵誘発剤をいっさい使用せずに、自然の排卵周期で採卵し、体外受精・胚移植を行うことも可能です。しかし、GnRHアゴニストを使用しないため、卵胞発育を注意深くモニターし、卵胞がある程度成熟し、かつ排卵が起こる前に採卵しなくてはなりません。規則正しい月経周期があることが最低条件で、以下の場合が適応となります。

  • 初回の体外受精・胚移植
  • 排卵誘発剤に対する反応が悪く、いつも1〜2個の卵胞しか得られない場合
  • 排卵誘発剤に対する反応が過剰で、重症の卵巣過剰刺激症候群になる危険性が高い場合
  • 排卵誘発剤に対するアレルギーなど、何らかの原因で排卵誘発剤が使用できない場合



抗生物質の服用

採卵日に抗生物質を処方します。抗生物質により、採卵や胚移植の際に細菌感染が起こるのを予防することができます。

採卵

採卵当日は、卵子は、超音波で卵巣を見ながら膣から特殊な細長い針を刺して卵胞を吸引・採取します。当クリニックでは軽い静脈麻酔を使用します。採卵は10分間程度で終了します。採卵後は13時頃に診察後帰宅となります。

媒精・顕微授精

  • 精子が正常の方は自宅で採取してもかまいませんが、精子に異常がある方は時間がたつにつれて元気な精子がどんどん少なくなっていきますので、当クリニックにある採精室(採取時に案内します)で新鮮な精液を採取していただくことがあります。

  • また禁欲期間が1週間を越える(精液を溜めすぎる)と、精液中に死んだ精子や白血球などが増え、精液の性状が悪くなります。精子の数は、健常男性では射精後3日程度で元の数に戻ることが知られています。そこで、採卵の日程より3〜5日前に射精するようにして下さい。そうすることにより、体外受精に使用する精液が最良の状態で採取できます。

  • 採取した精液は、洗浄・濃縮して運動良好な成熟精子を集め、一定の濃度に調整した後に、卵子を入れた培養液に入れて受精させます。これを「媒精」といいます。必ずしもすべての卵子が受精するわけではなく、一般的に受精率は7〜8割程度です。媒精の翌日に受精したかどうかを確認します。

  • 顕微授精法の治療スケジュールは、通常の体外受精・胚移植法と全く変わりがありません。ただ「媒精」の方法が異なるだけです。1匹の精子を直接卵子の中に注入する、卵細胞質内精子注入法(ICSI)という方法です。この方法では精子は動いている必要がなく、死んだ精子でさえ受精する可能性があります。非常に細いガラス針で精子を吸引し、卵子にダメージを与えないように注入します。受精が成立するかどうかは卵子の質にも左右されますが、運動性が良好で受精能が正常な精子が十分にあることが最も重要です。


培養

卵子にストレスがかからないよう、温度や酵素の濃度を一定に保った培養器の中で培養します。受精の2日後には4細胞、3日後には8細胞、4日後には16細胞に分割し、6日後には約半数が胚盤胞という状態に達します。

胚移植

受精の2〜6日後に、順調に発育した受精卵1〜2個を子宮内に移植します。胚移植の方法は受精卵を細長いチューブに吸い取り、これを子宮内に挿入して注入するだけです。膀胱に尿が貯まっていると子宮が真っ直ぐになるため移植用チューブが入りやすく、移植がスムーズに行えます。移植前の排尿は、我慢できる範囲で避けて下さい。移植の後は診察台の上で20分程度の安静時間をおき、その後は普通に歩いて帰宅することができます。



黄体補助

黄体ホルモンは、受精卵が子宮に着床するときに重要な働きをしています。胚移植の後、黄体ホルモンの内服または膣座薬(採卵日に処方します)またはHCGの注射で、ホルモンを補充します。

体外受精・胚移植の治療中、安静が必要なのは、採卵の日と胚移植の日です。この2日間は、できるだけ安静を心がけましょう。その他の日は身体に異常がなければ、通常の生活をしていて構いません。


高度生殖医療-合併症

高度生殖医療-合併症

卵巣過剰刺激症候群について

排卵誘発剤に対する反応は個人差があります。特に《多嚢胞性卵巣症候群》という排卵障害のある方は反応性が強く、卵巣が腫れたりお腹に水が貯まったりすることがあります。極端な場合には腹痛が強くなったり、胸に水が貯まって呼吸困難を訴えるほどになります。これを《卵巣過剰刺激症候群》といいます。腹水や胸水が貯まると血液中の水分が少なくなり、血液が固まりやすく、血栓ができやすくなります。 


妊娠が成立しなかった場合には月経が近づくとともに自然に治癒しますが、妊娠が成立した場合、妊娠絨毛から分泌されるホルモンが卵巣をさらに刺激して重症化することがあります。
《卵巣過剰刺激症候群》による症状は、通常、胚移植以降に強くなってきます。

特に、採卵数が多かった方(20個以上)はこれを来しやすいので、胚移植の後も数日間は安静が必要です。《卵巣過剰刺激症候群》の具体的な症状としては、お腹が強く張る、体重が急に増えてきた、尿量が少なくなってきた、などがあります。その場合は受診して下さい。血液濃縮が認められた場合には、入院して点滴で水分、電解質やタンパク質を補給することが必要になることもあります。《卵巣過剰刺激症候群》は、生命にかかわる重篤な状態になりうる危険な合併症です。その防止のためにも、治療中に行う超音波検査やホルモン検査は非常に大切です。

採卵に伴う合併症

穿刺した卵巣からの出血が止まらず、開腹止血手術を要する場合があります。また穿刺により周囲の臓器を損傷し、修復のための手術を要する場合もあります。これらはどんなに注意して採卵を行っても可能性はゼロにはできません。ただし頻度は低いですので過剰に心配するは必要ありません。

キャンセルについて


治療の途中で、止むを得ず中止せざるを得ないことがあり、《キャンセル》といいます。これには、以下のような場合があります。

  • 2週間以上排卵誘発を続けても、卵胞の発育が認められない場合
  • 卵巣の位置などによって、採卵が困難な場合
  • 採卵を行ったが、卵子が採取できなかった場合
  • 精子の採取が全くできなかった場合
  • 受精が成立しなかった場合
  • 受精したが、順調に発育した受精卵がない場合
  • その他、肉体的・精神的に妊娠を継続するのが困難と判断された場合


 キャンセル率は約20%です。最も多いのは「受精が成立しなかった場合」と「受精卵が順調に育たなかった場合」です。


高度生殖医療-成績

高度生殖医療-成績

治療による妊娠率

日本産科婦人科学会の報告(2015年)によると、2013年の体外受精や顕微授精の移植あたりの妊娠率はそれぞれ22.7%、19.1%と報告されています。しかし生産率は15%前後となっています。また凍結胚の移植あたりの妊娠率は32.9%と欧米に比較して高い数値を示しています。この原因としては治療を受ける方の高齢化、低卵巣刺激法の導入による1回あたりの採卵数の減少、凍結胚移植周期の増加などが考えられています。また流産率は25%前後と通常の妊娠に比べ2倍程度となっています。



このように、胚移植を行っても妊娠する確率は、20〜30%程度にすぎません。もちろん、1回で妊娠することもありますが、10回目でやっと妊娠することもあります。多くの施設からの集計では、妊娠例の約80%は最初の4回までの体外受精・胚移植で達成されています。治療を繰り返すことによって、妊娠・出産するチャンスは高まっていきます。


多胎・子宮外妊娠

また、受精卵を多く戻すほど妊娠率は高くなりますが、その半面、多胎妊娠の可能性も高くなります。
多胎は、妊娠高血圧症候群などの母体合併症や早産などの新生児合併症をひきおこすだけでなく、社会的にも様々な問題を発生させています。そこで多胎を予防するため移植胚数を制限するのが世界的な流れになっています。日本では世界に先駆けて移植胚数の制限に取り組んで来た結果、
多胎妊娠率は3%程度(2013年)で、20%を超える欧米に比較して低率になっています。

当院では2008年に出された日本産科婦人科学会の指針に従い、以下の方針で行っております。

  • 移植する胚は原則として1個とする
  • ただし35才以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性については2個移植も可能とする


多胎妊娠の大部分は、1回目または2回目の胚移植で成立した妊娠で起こります。また、胎児の数を減らす中絶治療(減数手術)は、現時点では、当院では行っていません。そこで、発育良好胚をスムーズに移植できた回数によって、移植胚数の上限を取り決めています。

また、3〜4%の頻度で一卵性双生児が発生することが知られており、その場合は2個しか受精卵を移植しなかったのに品胎になることがあります。さらに、数多くの受精卵を戻すことで子宮外妊娠の発生率も高くなり、体外受精による妊娠のうち1〜3%は子宮外妊娠となります。子宮の中に受精卵を戻しても、子宮に着床するとは限らないからです。特に、卵管に問題がある場合に子宮外妊娠が発生しやすくなります 。

次回の妊娠の準備

残念ながら妊娠しなかった場合は、1〜2か月はからだを休める必要があります。生理が来てしまったら、さらに1〜2か月後に2回目の生理が来るのを待ってください。すぐに次の治療を受けたい場合は、2回目の生理の後の高温相からブセレキュアを使い始めることができます。そのようにして行うと、年3〜4回は体外受精を受けることが可能です。焦らず余裕を持って行った方が、良い結果を得られます。

高度生殖医療-安全性

高度生殖医療-安全性

治療の安全性


体外受精・胚移植よって生まれた子供の発育は、普通ににして生まれた子供と差がないことが数多くの調査によって確認されています。極小未熟児を除いては精神・運動機能の発達も標準範囲だったと報告されています。

2006年の海外の大規模な調査によると、自然妊娠での先天異常発生率3%に対し、体外受精・胚移植の妊娠の場合は3.9%と若干の増加を認めますが大きな差はない、とされています。また2010年の米国の報告では、8才から17才の子供を調査した結果、学力テストの成績はすべての学年で全国平均を上回っていた、と報告されています(Human Repro.2010.10)。また2011年の海外の大規模な報告では、12才以上まで追跡可能であった体外受精で出生した児の成長、発達および健康状態は、自然妊娠の児と差がなかったと報告されています(Human Repro.2011.5)。

欧米に比較して日本では体外受精で出生した児の生後発育に関する調査はほとんど実施されてきませんでしたが、日本産科婦人科学会では2007年から子供データを含めたオンライン登録を開始しており、今後の活用が期待されています。

母体が高齢になると、ダウン症候群などの染色体異常、口唇蓋裂や消化管閉鎖などの奇形の発生が増加することが知られています。不妊治療を受けた女性は出産時年齢が高くなってしまうことが多いため、上記のような先天異常が発生する確率が比較的高くなると予想されます。例えば、ダウン症候群の発生率は約1/1000とされていますが、母体年齢が35歳を超えると3〜4倍となり、40歳以上の初産の場合には約15倍にまで増加すると報告されています。

胎児に染色体異常があるかどうかについては、妊娠初期に検査することができます。羊水検査は、妊娠16週以降に行うことができます。当クリニックでも可能です。

顕微授精における注意事項


顕微授精は本邦においても妊娠分娩例が多数報告され、治療手段の一つとして定着しています。これまでの報告では顕微授精によって生まれた子供における先天異常の発生率は、自然の妊娠で生まれた子供とほとんど差はないとされています。また2006年のヨーロッパ生殖医学会においても、8才の時点で顕微授精で生まれた子供と自然妊娠の子供との間に神経発達、身体発達に差は認められなかった、と報告されています。


しかし、この方法が生殖細胞をじかに扱う点、そして通常の受精過程での生理的な精子選択を排し、顕微授精(ICSI)の手技者が1個の精子を選択する点で細心の注意を払う必要があります。体外環境が配偶子や胚に及ばす傷害のリスクや受精機能異常を持った精子を選択し受精させるリスクを考慮しなければなりません。特に後者では遺伝的リスクを考慮する必要があります。
高度な乏精子症や無精子症例ではKlinefelter症候群などの染色体異常を持つ割合が高くなります。Klinefelter症候群例の射出精子あるいは精巣精子の多くは正常核型ですが、正常核型男性に比較して異常核型が高頻度に存在します。

また高度な乏精子症や無精子症例ではAZF(azoospermic factor)などの造精機能関連遺伝子の異常との関連が指摘されています。例えばAZFでは非閉塞性無精子症例の約10%に微小欠失が認められますが、Y染色体長腕に存在するので、ICSIで妊娠した生まれた男児にその異常が継承されます。つまりそのような男性の精子を用いて顕微授精を行い、男の子が生まれた場合、その子も将来、乏精子症または無精子症となる可能性があります。それらの関連遺伝子異常のいくつかは検査で確認することができます。また、嚢胞性線維症cystic fibrosisは欧米白人に多く認められ、原因遺伝子が第7番染色体長腕に局在し常染色体劣性遺伝を示します。人種差が著明で日本人ではまれな疾患ですが、この疾患は高頻度に先天性両側精管欠損を合併するので、そのような患者では病因遺伝子の異常の有無を治療前に検査することが望ましいと考えられています。

以上のことより,当医院は以下の点について注意を払いこの治療法を施行いたします。

  • 患者は法律上婚姻しており、挙児を希望すること
  • 患者は難治性の受精障害があり、この治療以外では妊娠の可能性がきわめて少ないこと
  • 患者は心身ともにこの治療を行える症例であること
  • 患者は妊娠した場合、心身ともに妊娠・分娩・育児が可能であること
  • 実施者は患者に対し、顕微授精固有の方法、リスクについて十分なカウンセリングを行い、承諾書をとること
  • 実施者は生殖医学の知識・技術をよく修得した医師で、細心の注意のもとに操作・処置を行い、協力者は本法の技術に十分習熟した者であること
  • 実施者は患者やその出生児のプライバシーを尊重すること



高度生殖医療-凍結胚移植

高度生殖医療-凍結胚移植

受精卵の凍結について


胚移植の際に、順調に発育している受精卵が余った場合も、もし希望があればそれらを凍結保存しておくことができます。妊娠が成功しなかった場合、次回は、凍結保存しておいた受精卵を移植することができ、排卵誘発から排卵までの負担を省くことができます。また、子宮内膜を十分調整して移植できるので、採卵周期あたりの累積妊娠率を向上させ、多胎も防止できます。さらには卵巣過剰刺激症候群や子宮内の環境が悪い場合にすべての胚を凍結して、改めて良い環境下に移植することも可能です。

  • 当院では近年確立された《ガラス化法》を採用しています。

  • 最近は凍結技術の進歩で、臨床成績の向上が顕著です。2013年度の日本国内の成績は、移植あたりの妊娠率は32.9%、妊娠あたりの流産率は26.0%、移植あたりの生産率は22.5%でした。

  • これまでの報告では、凍結胚により生まれた児の先天異常、身体的・精神的発育は、非凍結胚移植と差がないとされています。



凍結胚移植の方法

以下の2通りがあります。

  • ホルモン補充周期法
  • 女性ホルモン製剤を使用して、子宮内膜を調整し、計画的に移植します。

  • 自然周期法
  • 自然排卵周期を利用して、排卵後に移植します。


当院では子宮内膜のコントロールがしやすいことから、主にホルモン補充周期法を行っています。
具体的なスケジュールについては、治療開始時にスケジュール表をお渡しします。

凍結胚の廃棄

以下の場合は廃棄の対象になります。

  • 御夫婦の希望
  • 離縁された場合
  • どちらかが亡くなられた場合
  • 母体の生殖年齢を超えた場合







高度生殖医療-そのほか

高度生殖医療-その他

体外受精の費用

排卵誘発剤や黄体補助などのように、一般的な不妊治療として行われている治療の費用は保険が使えます。しかし、体外受精そのものの、採卵や胚移植にかかる費用には保険は使えず、各施設で独自に設定しているのが現状です。レディスクリニック・セントセシリアにおける料金の詳細については受診時に説明します。胚の凍結保存や顕微授精法を行った場合は、通常の体外受精の料金にそれらの料金が加算されます。

カウンセリングについて

治療内容につき不明な点、疑問点がございましたら、医師に遠慮なくご質問下さい。またメール相談も行っておりますし、スタッフによるカウンセリングも随時行っております。

天災・閉院の際の対応について

天災の最も大きな問題は大規模停電です。当院では非常用大容量バッテリーと自家発電装置のダブルバックアップ体制をとっております。万一それでもまかなえない大規模停電が発生した際は、緊急胚凍結も検討いたします。また当院が閉院となった場合には可能な限り、近隣の不妊専門施設へ凍結胚の移送を行います。

倫理について

体外受精・胚移植、胚の凍結保存、顕微授精を行うにあたっての医療倫理については、世界医師ジュネーブ宣言、日本産科婦人科学会の見解に従って行います。当クリニックで体外受精・胚移植を開始する際には、治療前に同意書を提出していただきます。書類の不備(夫婦の署名が同一筆跡である、印鑑が同じである、など)があると治療にうつることはできません。また当院では学会報告等の際は個人情報保護を厳守することをお約束いたします。

顕微授精法は、通常の体外受精を2周期以上行っても受精が成立しない夫婦に対して行われる治療です。しかし、例外として、運動精子数が極端に少ないため通常の体外受精では受精の成立が全く望めない場合には、最初から顕微授精を行います。 したがって、重度の乏精子症や無精子症などのため、顕微授精が必要であるという説明を受けた方は、体外受精の申請書類の他に顕微授精の申請書類も必要になります。

お願い

体外受精を行っている施設には、治療成績と生まれた子供の異常の有無を調査・報告する義務があります。この調査は日本産科婦人科学会が行っているもので、体外受精が安全な治療法であることを確認するために必要なものです。

体外受精が成功して子供が産まれたら、子供の発育の記録用紙を直接お送りします。これに子供の12か月間の発育を記録していただき、満1歳になった時点で下記連絡先に送り返してください。この調査において、体外受精を受けられた両親と子供のプライバシーは厳守しますので、是非ともご協力下さいますようにお願いいたします。なお、記録用紙の送り忘れ等があった場合は、電話等でご連絡いただけると助かります。

     〒030-0944 青森市筒井八ツ橋95-12 
  レディスクリニック・セントセシリア 上田 克文

おことわり

下記の期間は、当クリニックの都合により体外受精・胚移植が休止となることがありますので、あらかじめご了承下さい。

  • 5月の連休が長期におよぶ場合
  • 12月下旬~1月上旬



特定不妊治療費助成事業

特定不妊治療費助成事業

特定不妊治療(体外受精・顕微授精)を受けているご夫婦に、その治療費の一部を助成する事により、経済的負担の軽減を図る事を目的とした事業です。

レディスクリニック・セントセシリアは、この事業の指定医療機関です。
当院で特定不妊治療を受けた方で助成を希望する方は、お気軽にお問合せ下さい。
尚、この事業の対象となる方は下記の通りです。

助成対象者

法律上の婚姻関係にある夫婦で、特定不妊治療以外の治療法によっては、妊娠の見込みがないか又は極めて少ないと医師に診断された次の要件を満たす方。

  • 夫婦共に又は夫婦のいずれか一方が青森県内に住所を要する夫婦
  • 夫及び妻の所得額の合計が730万円(児童手当法に基く控除後の額)未満の夫婦
  • 県が指定する医療機関で特定不妊治療を実施した夫婦
  • 治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満であること。


助成対象治療法

健康保険適用以外の体外受精及び顕微授精が対象となります。ただし、夫婦以外の精子、卵子を使用した治療及び代理母による治療は対象になりません。

助成額

1回の治療につき治療内容に応じて15万円又は 7万5千円までを上限として助成されます。

  • 妻の年齢が43歳以上で開始した治療については助成対象外となります。
  • 初めて助成を受ける際の治療開始時の妻の年齢が40歳未満の場合、助成を受けられる回数は6回までとなります
  • 初めて助成を受ける際の治療開始時の妻の年齢が40歳以上43歳未満の場合、助成を受けられる回数は3回までとなります。

不育症について

不育症とは


流産は約15%の頻度で生じますが、高年齢や流産回数が多くなるにつれ、その頻度は増加します。2回以上の流産、死産、あるいは早期新生児死亡(生後1週間以内の赤ちゃんの死亡) がある場合を不育症と定義します。習慣(反復)流産はほぼ同意語ですが、これらには妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれません。不育症はより広い意味で用いられています。

不育症の検査・治療

子宮形態検査

超音波検査、子宮卵管造影検査、必要に応じMRI検査などを行います。形態異常がみつかった場合、一部が手術の対象となります。

内分泌検査

甲状腺ホルモン異常糖尿病の有無を評価します。異常がみつかった場合は、内科専門医の治療をうけ、十分にコントロールしてから次回妊娠に臨みましょう。 妊娠後も引き続き治療が必要です。

抗リン脂質抗体・凝固因子検査

これらがありますと血栓ができやすくなる結果、流産の原因になります。アスピリン、ヘパリン等の抗血栓療法を行います。

夫婦染色体検査

夫婦で染色体に構造的な異常がありますと、受精卵の遺伝子に欠損や重複が起こりやすくなるため、流産しやすくなります。染色体異常は生まれつきのものですから治療はできません。しかし、流産を繰り返しながらも、最終的に出産までいける可能性は、染色体正常カップルと比べても決して低くないことがわかってきています。


上記検査の結果、原因がはっきりとした人は治療を行ないます。原因不明(偶発的な流産をくり返したと思われる方)の方は何も治療をしなくても、次回の妊娠で成功する確率は高いです。

体外受精講座

当院で体外受精を受けられる方は、体外受精講座をご視聴下さい。
ご視聴にはパスワードが必要です。

LinkIconご視聴はこちらから